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■日にち 2020年3月7日(土)
■ルート 甲斐駒ヶ岳赤石沢奥壁左ルンゼ
■メンバー 荒澤(JECC、同人青鬼)、T石くん(MGC、同人青鬼)

当初は鹿島槍北壁のアレを考えていたのだけど、荒澤の家庭の事情によりいったんキャンセル。土曜日だけならば、ということで赤石沢奥壁を日帰りで行くことになった。

竹宇の駐車場到着は金曜22時半近く。すぐに寝て土曜1:30起床。2:15頃出発。7時過ぎに七丈小屋到着で身支度して、花谷さん&タツローガイドパーティとも挨拶。8合目から下りながらT柳くんたちの姿を右ルンゼに確認し、9時半ごろ左ルンゼ取り付きに到着。出だしが分からずにうだうだしながら10時過ぎに登攀開始。

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5合目で朝焼けを見る

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赤石沢奥壁全景

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右ルンゼを登るT柳くんパーティ

1ピッチ目(T石くんリード)ベルグラのベの字もない岩と草付き慎重に登る。順調にカンテを乗越したが、そのあとのボルトラダーのスラブに上がるところが悪い。凍ってない草付き、簡単に欠けるホールドで珍しくフォールし、A0交じりで抜ける。フォローも悪くて躊躇なくA0で突破。いや、これは難しい。
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2ピッチ目(荒澤リード)左の方にベルグラがあるのだけど、そこまでトラバースするのが難しそう。なんとなくラインが見えたので左上しながら5mぐらい上がったが、出だしからランナー取れてない。フットホールドは点在し、ベルグラまでトラバースできそうだけど、支点なしはヤバいよなぁとあたりを見渡しても何もないので、意を決してトラバース開始。1か所素手になりカチを握り込んで体重移動させて無事渡り切った。ベルグラから先は特に難しくなく、F2の下までロープを延ばす。

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ノープロでトラバース後、ベルグラに乗って一安心

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F2は下まで届いていない。上部も薄そう。

3ピッチ目F2(荒澤リード)F2の氷柱は下まで届いておらず、微妙そうなので夏のルート取りをするつもりで氷柱真下まで移動するも、(1ピッチ目みたいな)不安定な岩を登るぐらいならこの氷のほうが信用できそうと思いなおして、氷柱裏に回り込む。背面の岩と氷柱の間を落ち口近くまで登り、そこから氷柱表側にトラバース。まさか甲斐駒の山奥でこんなムーブを繰り出すことになるとは。表に回り込んだらあとは楽勝かと思いきや、落ち口がとてつもなく悪い。体を引き上げようにもボロボロと崩れていくベルグラ。最終支点は足のかなり下のほうの短いやつ。側壁のガバカチにアックスが届いたものの、ここの岩質でこいつは信用できるのか?迷っていても事態は好転しないので、そっと引き付ける。もげなくて良かった。落ち口から先は登れる代物ではないベルグラが張っており、右のクラック沿いを登る。カムでプロテクションは取れるけど、決して簡単ではない。突然リングボルトを発見し、スクリューも10cm1本を残すのみとなったので、ピッチを切ろうかと思ったけど、狭いし、リング1つじゃちょっとなぁとしばらく悩んで、さらにロープを延ばすことにする。ここから先は左のベルグラが登れそうなので、クラックからベルグラに乗り移る。が、ここは岩から離れて浮いたベルグラ地帯。壊さないように慎重に登り、少し厚みがありそうなところで最後の10cmスクリューをねじ込み、ボコボコと鈍い音をたてるベルグラをさらに登る。50m以上ロープを延ばしてようやく終了点までたどり着いた。

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氷柱裏から表に回り込んできて超楽しい。この後がヤバかったけど。

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フォローのT石くん

そこから先はルンゼ内を60m一杯近くまで伸ばしながら3ピッチで左ルンゼの終了点にたどり着いた。そこから1ピッチ岩の基部をトラバースし、中央稜に合流。中央稜は支点取りながら同時登攀で登って18:30ごろ登山道に飛び出した。

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ルンゼ内をどんどんロープを延ばす

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赤石沢奥壁の最深部へ

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後ろには鳳凰三山

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月明りに照らされた山肌が美しい

20時ごろに七丈小屋に戻り、花谷さんに挨拶をして、下山の身支度を整えて20:30ごろ下山開始。だいぶ疲労感もあり、最後はのんびりペースで24:20ごろ駐車場に下山。充実の22時間行動でした。
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■日にち 2020年2月8日(土)~11日(火)
■ルート 穂高屏風岩右岩壁ルンゼ状スラブ、赤沢山針峰フランケ中央チムニー
■メンバー 荒澤(JECC、同人青鬼)、T石くん(MGC、同人青鬼)

冬のパートナーT石くんと当初は例年通り米子不動に行くつもりで確保していた4連休だったが、米子の氷の発達悪く、狙っているどぜうの詩も無理そうなので、転進案をいろいろ検討した結果、最終的に穂高屏風岩に決定した。

2/8(土) アプローチ
雪が降る中、釜トンから歩き出し、横尾避難小屋まで。慣れないスノーシュー歩きで右膝痛めた。 ルート状況の確認のため、偵察に向かう。 雪が乗ってるのか、ベルグラなのかよくわからないが、 全面白っぽい。とりあえず明日は登ってみることにする。

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偵察

2/9(日) 穂高屏風岩右岩壁ルンゼ状スラブ
朝3時起床。4時半出発。うっすら雪が積もっているが、 昨日のトレースはバッチリ残っている。 本谷橋の手前付近でスノーブリッジを渡り、下部の樹林帯を適当に上がり、ルンゼ状スラブ下の雪壁を登る。
ロープを結んで7:45ごろ登攀開始。最初は雪壁なので、ノービレイで進む。雪壁からベルグラに切り替わるあたりでT石くんがビレイ点を構築して荒澤リードで実質1ピッチ目スタート。ランニングに10cmスクリューを一本決めただけで、あとは60m一杯まで伸ばしても5mぐらい足りずにコンテで進んで左端の小さなテラス状まで上がったが、確保が全く取れず、仕方ないので、アックス2本をアンカーとしてビレイ点構築。まぁ、この程度ならT石くんは絶対に落ちることはないから大丈夫でしょう。
2ピッチ目はT石くんリードで右上しながらベルグラを進む。50mぐらい伸ばして右の灌木でビレイ。
3ピッチ目は荒澤リードでベルグラからハングにかかる氷柱を登る。氷柱付近でようやく氷の厚みが出て、13cmが根元まで刺さる箇所が出てきた。氷柱の発達が悪く、左右にトラバースを入れながらバランシーな登攀を強いられる。ようやくハングの落ち口まで登り、核心終わりかと思ったら、落ち口の氷が1~2cmぐらいのベルグラで思い切ったムーブが起こせない。いったん1歩戻ってレストして、氷をよく観察し、わずかに厚みのある部分にアックスを刺し、静かに引き付けスラブに這い上がった。いやぁ、緊張した。右の灌木まで斜めに登ってビレイ点構築。60mいっぱいいっぱい伸ばした。フォローで登ってきたT石くんが一言「先輩!あれやばいっす。VII級ぐらいあるんじゃないっすか」
4ピッチ目はT石くんリードでベルグラスラブをひたすら登り、灌木でビレイ。5ピッチ目は荒澤リードでハングの右端にかかるしっかりした氷柱を登り、終了点まで。この氷柱は初めて16cmが根元までバッチリ刺さりシアワセな気分になれた。
下降はカモシカ尾根を下ったが、ルートを誤って登り返したり、懸垂連発したりして時間が掛かり、取り付きに戻ったのが18時だった。荷物を回収し、月明りに照らされた屏風岩を眺めながら避難小屋に戻った。

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夜明け前にアプローチ

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ラッセル

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雪壁をラッセル

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ベルグラを登る

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3ピッチ目ハング帯の下。この先のハング帯にかかる氷柱がなかなか難しかった

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ハング帯の上のベルグラスラブ。なかなか日本離れした景色。

2/10(月) 赤沢山
前日、寝たのが22:30ごろだったので、早起きはあきらめて明るくなった7時ごろのんびり小屋を出発。朝は快晴で朝焼けの前穂が美しい。ノートレースの槍沢沿いの登山道をスノーシューラッセルしながら進む。二ノ俣谷出合を過ぎたあたりから急に積雪量が増え、ラッセルが深くなる。なんだかんだ時間が掛かり10時ごろ槍沢ロッジ到着。このころから雪が強くなりあまり見通しが効かなくなる。槍沢ロッジからさらに進み、右手から降りてくる沢筋に岩が見え、赤沢の出合と勘違いし沢を登り始めたが一向にそれらしい岩が見えない。結構登ったところで一本手前の沢を登っていることに気づき下降。1時間半ぐらいロス。気を取り直してもう一本上流側の沢筋を詰めると、ガイドブックで見たことある岩が見えてきた。途中、沢筋に雪崩が発生したりもしたが、12時過ぎにようやく取り付き到着。3,4ピッチ程度なので、何とかなるでしょう、と軽い気持ちで取り付く。1ピッチ目、T石くんリードでスタート。クラックで上手にプロテクションを取りながら50mぐらいロープを延ばしてチムニーの脇のハング下まで伸ばす。2ピッチ目、荒澤リードでチムニー脇のリッジを登る。上からチリ雪崩が断続的に落ちてくるだけでなく、時折、谷を「ゴゴゴ」と恐ろしい音を立てて雪崩が走り、雪煙がここまで上がってくる。さすがにやばい状況なので、途中まで登ったリッジをクライムダウンし、灌木を使って懸垂して撤収。この数時間で30~40cmぐらい雪が積もり、行きのトレースが消えかかっている。何とか明るいうちに槍沢ロッジまで戻り、ほっと一安心。そこからもラッセルで横尾まで戻った。一日中ラッセルし、雪崩も近くて色々疲れた。

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吹雪と雪崩で色々疲れた

2/11(火) 下山
最終日は超快晴!連日のヘッデン残業で疲れたので、明るくなってから起床し、8時前に横尾の避難小屋を出発。スノーシューハイキングを楽しみながら昼過ぎに下山。
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気持ちのいい晴れ。スノーシューハイカーもたくさんいた。
■日にち 2017年5月4日(木)~6日(土)
■ルート 剱尾根R4~剱尾根上半部縦走
■メンバー 荒澤、佐々木、リッキー(R4のみ。同人青鬼)

最近JECCに入った佐々木くんが「R4に行ってみたい」というので、GWはR4に行くことにした。佐々木くんはアイス経験があまりないので、4月頭に2日間アイストレーニングを実施。名門山岳部出身なので、基本的な山ヂカラは十分(ぼくよりも上なんじゃ?)なので、すんなりリードもできるようになり、R4にも連れて行けると判断し、GWを迎えた。

3日の夜に都内を出発し、26時ごろ馬場島到着。一杯飲んでから就寝。6時過ぎに警備隊に入山の挨拶をして、雪の状態を聞いてから出発。

今年は雪が多く、渡渉もないので1時間ちょっとで池ノ谷の出合まで到着。一休みして、ヘルメットをかぶって池ノ谷ゴルジュに突入。特に不安要素もなくゴルジュは通過し、広くなった池ノ谷を延々と詰める。二俣には9時半ごろだったか?12時ぐらいには三ノ窓に着くかなぁなんて言いながらなかなか近づかない三ノ窓と降り注ぐ日差し、どんどん増す傾斜に体力を奪われペースダウン。途中、R4を登って下りてきた青鬼のちっぺこ夫婦と挨拶を交わし、13時ごろに三ノ窓到着。ソロでR4を狙いに来ていた青鬼のリッキーとも合流したが、R4は氷が薄く不安定なのでソロは諦めたという。じゃあ明日一緒に登ろうという話になり、夕方から宴会スタート。まだ薄明るいうちに就寝。

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三ノ窓が見えているけど遠い。。。

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R4は氷薄いねぇ

翌5日は4時出発予定だったが、結局4:25ごろ出発となった。10分ほどでR4取付きに到着。下から山下ガイドのパーティも迫ってきていたので、すぐに準備して荒澤リードで登攀開始。

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三ノ窓を出発

1ピッチ目はほとんど氷はなく、トラバースから一段上がるところはドラツーで越える。そのあとは薄い氷だが傾斜もないので特に難しいところもなく、50mぐらいロープを伸ばして残置リングボルトとトライカムでピッチを切る。2ピッチ目は氷の詰まったガリーといった感じで、チムニー部分にもほとんど氷はなくチムニー登りとなる。プロテクションはプアだが、簡単なので問題ない。これも50mぐらい伸ばしてハング下の雪の棚で残置ハーケンとナッツでピッチを切る。ここでリッキーにリードを交代。久しぶりのアイスで登攀にもビレイ点構築にも時間が掛かったが問題なく2ピッチリード。その間に山下ガイドに抜かれた。さすが速い。5ピッチ目は荒澤リードで上部の雪壁まで伸ばし、スタンディングアックスで後続を確保。あとは各々フリーソロでドームの頭まで。全体に氷は薄かったし、水っぽくてスクリューは信用ならないけど、今シーズンはそんなのに慣れたので簡単だった。

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R4 2ピッチ目の終了点より

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小窓の王がカッコいい

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ドームの頭で自撮り。佐々木くんの自撮り棒大活躍

ここで、本日下山するリッキーとは別れ、我々は引き続き剱尾根上半部に突入する。5年前の夏に剱尾根は登っているのだけど、全くこの辺の記憶がなく、出だしの岩場はどこ登るのだかいまいちわからない。とりあえず近づいてみると登れそうなラインがあったのでロープを付けて行ってみたら問題なく突破できた。続いて佐々木くんがリードし、雪壁~岩のリッジを通過。念のためもう1ピッチロープ伸ばしてあとは簡単そうなのでロープをしまった。順調に剱尾根の頭を通過し、長次郎の頭に到着。本峰が見えているのだが、ここから一旦下ってから登り返すと思うと非常に気が重い。長次郎のコルからの最後の急登をゆっくりと登り、山頂には12:15ごろ到着した。一通り記念撮影をし、源次郎から登ってきた3人パーティの写真を撮ってあげたりしてから13時前に山頂を後にした。

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佐々木くんリード

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剱岳山頂にて

「この時間なら今日中に馬場島まで下れそうだね~、今夜はきときと寿司だ!」と盛り上がっていたところで、遥か彼方から「お~い、お~い」と呼ばれる。声の主を探すと長次郎谷の中ほど、八ツ峰の5-6のコルの下あたりに人影があり、「救助要請」と叫んでいる。状況が全く分からないが、とにかく救助が必要らしい。稜線上は携帯が使えるので、警察に通報し、山岳警備隊とのやり取りが開始された。佐々木くんの声が良く通ったので、要救助者と何とか会話ができ、状況を警備隊に伝えることができ、剣御前の警備隊が徒歩で救助に来るという。途中、ガスで視界がなくなったりもしたが、16時前に警備隊が到着するのを見届けてから三ノ窓に戻った。これから下れなくもないが、なんだが疲れたので、三ノ窓にもう一泊し、明日の早朝、雨が降り出す前に下りることにした。

翌朝、3時に起床し、4:20ごろ下山開始。あっという間に二俣を通過し、池ノ谷ゴルジュを通過したところで一休み。三ノ窓から2時間程度で馬場島まで下り、警備隊のところで救助活動の状況を聞き、要救助者の無事を確認して剱の山行は終了。

きときと寿司は11時からなので、栄食堂で名物のたら汁と刺身、ホタルイカ、納豆ご飯をたらふく食べて、一路小川山へ向かう。途中スーパーで山菜などを調達し、親指岩で軽く登ってから、夜はてんぷらパーティ。翌日はセレクションを登って昼前に下山。ふじもとで焼肉食べて、渋滞のない中央道を快調に飛ばして帰京。GWを満喫できました。
■日にち 2017年2月26日(日)
■ルート 谷川岳一ノ倉沢 滝沢第三スラブ
■メンバー 荒澤(JECC、同人青鬼)、Tくん(MGC、同人青鬼)



去年、滝沢リッジを登り、次は「三スラ」と漠然と考えていた。2月下旬~3月初旬をターゲットとしてパートナーのTくんと予定を調整していたところ、2月中ごろに運よく烏帽子大氷柱のチャンスを掴むことができたが、その下山中も、二人の目線は具体的な登攀対象としての「三スラ」を見上げていた。

三スラを計画するには、まずは天気予報、降雪状況をチェックするところから始まる。2/16に烏帽子大氷柱で一ノ倉に入っているので、その時をベースに考えればよいので、状況は非常につかみやすかった。当初2/25(土)を最初のアタック候補日にしていたのだが、木~金にまとまった降雪があったので、日曜日に入っていた予定を調整し、2/26(日)をアタック日とした。

土曜日の夜、ベースプラザの駐車場に入り、装備を確認して就寝。今回は4時間以上睡眠時間を確保できた。2時半起床で、3時に出発。指導センターに計画書を出しに寄ると、大氷柱を狙いに来た沼田のS野さんたちに会い、お互いの成功を祈願しあった。10日前とは違い踏み固められたトレースをかっ飛ばし、2パーティを抜き去って1時間かからずに一ノ倉出合に到着。そのままツボ足で一ノ倉に入っていく。ほぼ新月のため空は真っ暗。小雪が舞い、ヘッドライトも遠くまで届かない。テールリッジの末端を通過したのはわかったのだが、そのまま谷を詰めていくと岩のスラブが露出してきた。おかしいなと思いながら、右岸側の側壁を「滝沢リッジの取り付きあたりかねぇ」とかいいながら登っていくと、左側切れ落ちてるリッジの上に出た。ここでようやく烏帽子スラブを登っていたことに気付き、慌てて下る。途中、テールリッジを登ってきたS野さんたちと談笑し、明るくなりかけた本谷に復帰して6:20ごろ滝沢出合に到着。一時間は無駄にした(笑)。

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滝沢出合に到着

「前回の烏帽子大氷柱はぼくからだったから、Tくんから行く?」と尋ねると「うっす」との返事。すぐにロープを結んで登攀開始。群馬側の天気予報は悪くないはずだったが、ずっと雪が降っており、降ったそばから三スラを滑り落ちてきてスノーシャワーがひっきりなし。そして時々滝沢本谷のほうから大きいスノーシャワーが落ちてきて埋まりそうになる。Tくんは慣れない平爪でのアイスに難儀しながら出合の氷瀑を越え、順調にロープをのばす。そして荒澤がフォローで登り始め、氷瀑を登りきったところで滝沢本谷をデカいスノーシャワーが駆け抜けた。アブナイ。下でビレイしていた時だったら吹っ飛ばされてるやつだ。

その上は特にビレイの必要はなさそうなので、荒澤トップで同時登攀でF4下まで移動。スクリューとアックスでビレイ点を構築し、TくんリードでF4を越え、ロープいっぱいになってから20mぐらい同時登攀し灌木でビレイ。そこから再び荒澤トップで同時登攀。上部草付帯の取付きにタイオフしたスクリューとアックスで構築したビレイ点でTくんを迎える。この時点では9時過ぎで、良いペースで登っている。相変わらず雪が降り続き、視界が悪くドームは見えず、定期的にスノーシャワーが落ちてくる。烏帽子大氷柱のときとはうって変わって厳冬期の冬壁らしいコンディションだ。

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F4リード中のTくん。側壁からスノーシャワー

上部草付帯1ピッチ目はそのままTくんリードで途中3か所ぐらいイボイノシシをぶち込んで55mほど草付帯を登り、灌木を掘り起こしてビレイ。2ピッチ目は荒澤が50mほどラッセルしながら微妙な垂直草付を登り灌木でビレイ。このピッチは微妙で時間が掛かった。3ピッチ目はTくんが60mギリギリロープを伸ばしたところでドーム基部に到着。最後はランナー取れない雪稜のラッセルとなったようで、このピッチも時間が掛かった。ドームのトラバースは荒澤リード。崩れそうな足元を慎重にトラバースし、慰霊碑のある懸垂点に到着。この時点で14時前。上部草付帯でずいぶん時間が掛かった。

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上部草付帯1ピッチ目

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1ピッチ目をフォローする荒澤。雪まみれ(笑)

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上部草付帯2ピッチ目、フォローのTくん

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aルンゼへの懸垂点手前

aルンゼはガスに覆われており、底が見えない。懸垂でルンゼの底に降り立つとフカフカの雪が詰まった気持ちの悪い状態であった。先日の降雪時から落ちていなさそうであったが、顕著な弱層は見られず、まぁ何とかなりそうだし、ここに下りたからには前に進むしかないので、膝~腿ラッセルを黙々とこなし、左手のコルに上がろうとしたところで、ヒドゥンクレパスに落ちそうになる。斜面全体がずれており、深い穴が横一直線に続いている。一番狭いところを慎重に乗越し、コルに到着。さらにリッジを詰めていくが、ガスが深く地面の傾斜すら良くわからない。とにかく上へ上へと登っていくと雪庇の下にでて、雪庇を乗り越すと縦走路に飛び出した。15時過ぎにやっと安全圏に脱出できた。

ここからは楽勝かと思いきや、ホワイトアウトで視界数m。オキの耳で記念撮影をし、トマの耳を通過し肩の小屋近くの巨大な標識までは問題なかったが、やはりホワイトアウト状態では西黒尾根の下り口が全く分からない。仕方ないので天神尾根を下ろうとするが、それもなかなか困難で、方向に当たりを付けてうっすらある踏み跡を頼りに下っていくと赤布が見えてきた。「沼田山岳会」と書いてある。S野さんありがとう~。天神ザンゲ岩のあたりまでくると完全にガスの下に出たようで見通せるようになった。あぁ、これで間違いなく帰れる。ふと爼嵓のほうに目をやると、シーラカンスが繋がっている。Tくんに「あれがシーラカンスだよ。次はあれ狙っちゃう?」などと談笑しながら天神尾根を駆け下り、17:30駐車場に戻った。(翌2/27にシーラカンス第二登が達成されたそうです)

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天神尾根下降中にガスの下に出て一安心。
■日にち 2017年2月16日(木)
■ルート 谷川岳一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁大氷柱
■メンバー 荒澤(JECC、同人青鬼)、Tくん(MGC、同人青鬼)



2/9に烏帽子大氷柱が登られたとの話を聞き、「米子行ってる場合じゃない!」と米子パートナーTくんと意見が一致し、2/20の休暇予定をキャンセルし、平日カードを切ることにした。お互いに休めそうなのが2/16、天気予報的にも晴れ過ぎが心配なぐらいで悪くはない。これはやるしかない。

15日夜、Tくんを都内で拾って一路谷川を目指す。23時過ぎに到着し、ギア確認をして、23時40分ごろ就寝、したと思いきや1時起床(笑)。1時半出発。出だし、少しでも楽したい一心でトレースについていったら全然違うところに向かってて30分ぐらいロス。気を取り直してトレースの消えてる林道をスノーシューラッセルで4時ごろ一ノ倉沢出合到着。

一ノ倉沢内は意外と締まっていてスノーシューがほとんど沈まず、らくらくテールリッジ末端に到着。ここでスノーシューをデポ、「これならワカンもいらないでしょ」とワカンもデポ。しかし、ひと登りしてテールリッジに上がると意外と雪が深く、膝~腿ラッセル。ワカンデポしたことを少し後悔しつつ、頑張ってツボ足ラッセルして6時半ごろ中央稜取付きに到着。ここで準備を整える。

中央稜を回り込むと目の前に烏帽子大氷柱が!「繋がってる~」ニヤニヤが止まらない。「前回(先週末の昇天の氷柱)は1P目貰ってババ引いたんで、先輩からどうぞ」と譲られ、7時過ぎに荒澤リードで登攀開始。

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烏帽子大氷柱がしっかり繋がっている

1ピッチ目出だしはシュルンドを越えて壁に取付かねばならないのだが、オーバーハングした雪壁で、簡単には上がらせてくれない。上がってからも氷にトラバースしたいが悪そうなので、そのままミックス帯を直上。プロテクションは全く取れないうちに「ロープ半分」(70mロープなので35m)のコール。残置スリングがある凹角のドライセクションに向かうか、スクリューの効かなそうな氷に向かうか選択を迫られたが、残置にランナーを取ってドライセクションを直上。そのまま60mほどロープを伸ばすと変形チムニーの左の垂壁に到着。入りきらない13cmスクリュー2本とアイスフックでビレイ点を構築し、フォローのTくんを迎える。この時点で日がガンガン当たり暑いし、氷がどんどん解けていってるのが分かる。ビレイ中にも上から氷片が「ヒュン」とか「ブンっ」とか恐ろしい音をあげながら近くを落ちていく。こういうときはシャアのセリフを思い出し、心を落ち着かせる。「そうそう当たるものではない」

2ピッチ目はTくんリード。一見まともな氷だが、厚さもなくシャーベット状で、すぐに岩を叩くし、スクリューもスカスカなうえに13cmが根元まで入らない。慎重に登り、40mほどロープを伸ばしたところで「ビレイ解除」のコール。氷柱の左壁の残置ビレイ点を使用。

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2P目、変形チムニーの左の垂壁を登る

3ピッチ目は荒澤リード。初めて青っぽい「本物の氷」を目にするが、その上は相変わらずのニセモノ氷。青い氷を1段上がり、上部を見上げると意外と立ってる(あとでトポ見たらVI級ってなってた)。スクリューの効かないシャーベット氷でこれはヤバい。慎重にオブザベをして、おまじない程度のスクリューを刺したら覚悟を決めて核心に突入。いつもより慎重にアックスを決め、核心を半分ぐらいこなしたところで、アイゼンが氷を切り足ブラになりかけるが何とか持ちこたえる。しかし安心したのも束の間、氷柱から滴る水でサングラスが曇り、視界が利かない。ピンチ!スクリューは遥か足元で効いているかもわからない。一瞬、アックステンションも頭をよぎるが、この氷でアックステンションしても安全とは思えない。高橋Qちゃんよろしくサングラス投げ捨てることも考えたけど、この後の登攀がサングラスなしでは雪目になっちゃう。「大丈夫、垂壁であれば、足さえしっかり決めれば無限レストできる!」と自分に言い聞かせ、サングラスの隙間から氷の様子を確認しながら進むことを選択。水滴地帯を外れると徐々に視界も復活し、なんとか核心をフリーで突破。そのまま50mほどロープを伸ばし、残置ハーケンとナッツでビレイ点を構築。

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3P目出だし

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谷川らしからぬ青空と氷瀑

4ピッチ目はTくんリード。だいぶ傾斜は緩むけど、相変わらずシャーベットでスクリューの効かない長~い最終ピッチ。お昼が近づいてどんどん気温が上がっているため、大きな氷片交じりのスノーシャワーが落ちてくるようになる。それを警戒してTくんも深めにアックスを刺す。一発、大きなヤツが降ってきたのが見えて「ラクっ」と叫ぶと、Tくんも瞬時に反応し体を壁に寄せた。続いてビレイヤーにも向かって降ってくるのでこっちもすぐに壁にへばりついて耐える。「耐えてくれよ~」と願いながら、ロープが引かれないのでTくんの無事を感じ、シャワーが収まったところで上を向くと雪まみれになりながらしっかり耐えていた。えらい!70m近く伸ばしたところで上部の灌木に届いたようでフォローで登り始めたが、こちらもフォロー中にデカいの一発食らい、ひたすら耐える。体中に雪が積もり、このまま埋まっちゃうんじゃないかと不安になる。12時過ぎにフォローも無事終了点の灌木まで到着し、完登。約5時間の素晴らしい登攀でした。

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フィナーレの長いピッチを快調にロープを伸ばす

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テールリッジの下り

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烏帽子大氷柱を振り返る